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【ペーパー 1/3】Prequel

こちらはbe with me foreverの前日譚の抜粋です。プレダコンライジング後、平和になったサイバトロン星でオートボットと共に復興に勤しんで(?)いるメディックノックアウトがウォーブレークダウンの墓標の隣で彼に想いを馳せる…という内容です。当然のように捏造し放題だし原稿を描くにあたっての自分用のメモ書きみたいなものなのでTF特有の言い換えとかはなく違和感があるかもしれません。そもそも文章力が…



 

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「……ウォーブレークダウン」


気が遠くなるほど長い間共にあった相棒の名を口にする。はぐれ者に破壊され、人間にまで弄ばれた憐れな相棒。

彼の死を耳にしたときはあまり実感が湧かなかった。当初は遺体も見つからなかったのだ、もしかしたらどこか感知できないところにいるかもしれない、と僅かながら希望を持っていた。彼がそう簡単に死ぬはずがないと。

しかし程なくして、彼の遺体が人間の反政府組織の司令官の蘇生のために利用されたと知る。許せなかった。彼の身体を切り刻み、右目を奪った人間が、果てにはその汚い肉を彼と融合させたなど。必ず彼が受けた苦しみと屈辱以上の苦痛を与えてやると心の内に怒りを滾らせた。

またしばらく時が経った。その間も人間に対して倫理の欠片もない実験を繰り返していたが、とうとう暴走して終いには死んでしまった。何もかも半端で、復讐心など微塵も晴れなかった。

それでも行き場を失った感情に振り回されずに済んだのは、単に戦いの只中にあったからだ。ただ生き残ることに必死だった。まだ彼を失ったことに対する悲しみも誤魔化すことができていた。


だが今はどうだろうか。平和を取り戻した母星で、彼のことを考えない日はない。彼との思い出の大半はサイバトロン星での戦争後に移住した星ではある。けれど、再び故郷で暮らせる日が来たと、街にいた者達のように喜びを分かち合いたかった。戦いは終わったのだと実感するたびに、その安寧の中に彼はいないという現実を突き付けられる。メディックノックアウトにとってこの平和はただただ空虚なものでしかない。ただ、苦しいだけだ。


可笑しな話だ。彼と出会う以前はずっとひとりだったのに、どうやってひとりで生きてきたのかが思い出せない。自分にとっての彼の存在の大きさを自覚し、メディックノックアウトは口を歪ませる。しかしすぐに取り繕うように表情を和らげ墓標をそっと指先で撫でると、また来ます、と囁き立ち上がった。


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